


臨床診断学研究室
研究内容
われわれは,臨床病理診断と病理診断を組み合わせた新しい学問体系を目指して,2018年に臨床診断学研究室を立ち上げました.「臨床病理を病理で裏付ける」が,「臨床診断学」の新しい学問体系のコンセプトです.臨床診断学研究室に所属した学生は,臨床病理と病理の両方を学べることが特徴です.現在,3年生8人,4年生1人,5年生3人,6年生5人,大学院生1人,教員3人の大きな所帯です.
研究室の学生生活のゴールは,「笑顔で卒業」です.学部学生にとって楽しい研究室生活は,獣医師国家試験に合格することと同じくらい大切です.ただ楽しいだけではありません.勉強もしっかりやります.学生は,根尾講師の下で臨床病理診断(細胞診,血液検査等の臨床検査の解釈), 上家教授と峰重講師の下で伴侶動物の病理診断(解剖と組織診断)を学びます.
1)臨床病理
2023年度の6年生の卒業論文は,「マイクロパーティクルを用いた輸血用赤血球の障害度の評価」,「ウシの赤血球自死機構(エリプトーシス)の性状解析」,「液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS/MS)を用いたイヌ肝細胞スフェロイドにおける薬物代謝機能の検討」,「柴犬および秋田犬のエリプトーシスについての検討」,「イヌの保存血液における酸化ストレス関連物質とATP濃度の経時的変化」です.また,動物実験の削減に貢献する人工肝細胞作成の研究も実施しています(「微量の肝細胞から長期培養可能な犬の人工肝臓を作出する」科研費基盤研究C,研究代表者:根尾櫻子).
2)病理
犬や猫の自然発症疾患について, 病理学的アプローチからその病態解明に取り組んでもらいます. テーマとしては, 「猫の口腔扁平上皮癌における高悪性化機序の解明」などです. 実際に症例の病理診断を担当することで, 動物が病気になった原因や身体に生じている変化を学ぶことができます. また, 小型の非ヒト霊長類の実験動物であるコモンマーモセットの自然発症疾患の病理解析についても卒業論文の課題にすることができます.
共同研究
臨床診断学研究室では他大学や企業と共同研究を実施して,研究の視点を拡げています.共同研究の依頼は大歓迎です.
・「動物用自動血球計数装置LC-662評価試験」(麻布大学堀場製作所共同研究,研究代表者:根尾櫻子)
・「ペリオスチンに着目したネコの口腔扁平上皮癌の高悪性化機序の解明」(科研費基盤研究C, 研究代表者:峰重隆幸)
学部卒業生の進路
・小動物臨床(8名)
・産業動物臨床(3名)
・地方公務員(1名)
・企業(1名)
・大学院進学(1名)
大学院修了生の進路
・産業動物臨床(1名)
2025年5月15日更新

先生からひと言
教員紹介
上家潤一 (兼任)
麻布大学獣医学部 教授 (病理学研究室)
日本獣医病理学専門家 (Diplomate JCVP)
2003年 新潟大学大学院医学研究科 博士課程修了 医学博士.2005年東北大学大学院薬学研究科 助手.2007年 麻布大学 講師.2013年 准教授.2020年から現職.
根尾櫻子
麻布大学獣医学部 講師
米国獣医病理学専門医 (臨床病理学) (Diplomate ACVP: Clinical pathologist)
2005年 麻布大学大学院獣医学研究科 博士課程修了 博士 (獣医学).2008年 University of Pennsylvania; Veterinary Clinical Pathologyレジデントコース修了.2008年 麻布大学 助教.2018年から現職.
峰重隆幸
麻布大学獣医学部 講師
日本獣医病理学専門家 (Diplomate JCVP)
2016年 麻布大学大学院獣医学研究科 博士課程修了 博士 (獣医学).2021年 帯広畜産大学 助教.2024年から現職.