研究内容
ヒトが病原体に感染し、風邪や下痢を起こすのと同じように、動物も病原体にさらされることで、消化器・呼吸器症状、リンパ腫などの様々な感染症を呈します。当研究室では、産業動物や伴侶動物、野生動物の血液や糞便、鼻腔スワブなどの生体試料からの病原体の検出、ウイルス学的性状解析や抗ウイルス作用のある化合物の探索など、動物の感染症の制御に貢献するため、以下のような研究を行っています。
①動物の下痢症は病気の中でも大きなウェートを占めるため、対策が必要です。まずは原因究明が大切ですが、未だ実態のわかっていない未知の病原体を次世代シークエンスにより探索し、発見した病原体について診断法の開発を行っています。
②牛伝染性リンパ腫は国内だけでなく世界で蔓延しているウイルスによって引き起こされる疾病です。世界的に甚大な被害をもたらすウイルスを制御するために遺伝子組換えや網羅的解析技術等により、ウイルスの特徴を解き明かしてきました。現在、この研究結果を応用した効率的な感染制御対策の研究をすすめています。
③牛呼吸器病症候群は、様々な呼吸器ウイルスや細菌の感染によって引き起こされる経済損失の大きな複合感染症です。当研究室では、牛呼吸器病症候群の原因ウイルスの検出と統計解析を行っています。特にD型インフルエンザウイルスについては、組み換えウイルスを用いた病原性や増殖性に関与するアミノ酸変異の同定およびワクチン候補株の樹立などの研究を行っています。
④犬のバベシア症とはBabesia gibsoniという原虫が犬の赤血球に感染して溶血することにより貧血を起こして衰弱してゆく病気で、当研究室ではこの病気の治療方法とワクチンの開発を目指して実験をしています。
先生からひと言
動物感染症の原因となる病原体の疫学調査、ウイルス学的性状解析や抗ウイルス作用のある化合物の探索など制御に役立つ研究を行っています。