食のデータサイエンス研究室

Nutrition Epidemiology and Data Science

栄養疫学★ジャーナルクラブ 2019②

投稿日:2019年06月11日

こんにちは。

梅雨らしい天気の日と夏のような気温の日が交互にやってきていますね。

寒暖差が激しいので、体調を崩さないようにバランスの取れた食事をしっかり摂っていきましょう。

さて、今回は4年生の金子さん(減塩班)、佐々木君(食育班)が担当した論文についてご紹介します。

2019/5/13(金子さん)

タイトル:食事由来ナトリウムの減少が抵抗性高血圧患者の血圧に及ぼす影響:無作為化試験の結果より

(Effects of dietary sodium reduction on blood pressure in subjects with resistant hypertension: results from a randomized trial.)

観察研究で食事由来のナトリウム(Na)と血圧との間に有意な関係があることが示されています。しかし、抵抗性高血圧(薬剤投与を行っても血圧が高値を示す病態)に対する食塩摂取の影響はあまり知られていません。

今回の論文は、抵抗性高血圧症の被験者において、食事中の塩分制限が血圧に及ぼす影響を調べることを目的としました。

薬理学的に有効な3つ以上の薬を使用しているにもかかわらず、2回目以降の来院時の血圧に改善が見られなかった者(抵抗性高血圧症患者)を対象に、試験を実施しました。

1週間低塩食(Na 50mmol/day)を食べる群と、高塩食(Na 250mmol/day)を食べる群に分け血圧を測定し、この2週間後に低塩食と高塩食を入れ替え、再度血圧を測定しました。

その結果、低塩食は高塩食と比較して、外来、昼間、夜間、および24時間の血圧を有意に減少させました。

この研究は、抵抗性高血圧症患者においても、塩分摂取量を減少することの重要性を強調するものになりました。

2019/5/20(佐々木君)

タイトル:朝食欠食と癌、循環器疾患およびすべての原因による死亡率。日本共同コホート研究調査結果

(Skipping Breakfast and Risk of Mortality from Cancer, Circulatory Diseases and All Causes: Findings from the Japan Collaborative Cohort Study.)

朝食の食習慣は食事パターンの指標であり、健康的なライフスタイルの有用な予測因子です。そのため、朝食欠食は様々な疾患と関連すると考えられています。

この研究では、日本での大規模コホート研究からのデータの多変量解析を行い、朝食欠食と癌、循環器疾患およびすべての原因による死亡率との関連性を調べました。

対象者は全国45地域に住む40〜79歳の合計83,410人(男性:34,128人および女性:49,282)で、ベースライン調査を1988年~1990年、追跡期間を1988年~2009年末に実施しました。食生活に関するアンケート、生活習慣に関するアンケートを行い、統計解析を行いました。

その結果、朝食欠食が循環器疾患による死亡のリスクならびにトータルの死亡リスクと関連していることを示しました。

朝食欠食は、喫煙状況や身体活動や歩行時間の少なさ、エネルギー摂取量の少なさ、不規則な夕食ならびに毎日おやつを食べるなどの不健康な生活習慣と関連していることがわかりました。



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