食のデータサイエンス研究室

Nutrition Epidemiology and Data Science

栄養疫学★ジャーナルクラブ 2019①

投稿日:2019年06月11日

こんにちは。

年度が明け2カ月と少しが経ちましたが、公衆栄養学研究室ではスタッフや大学院生も増え、2代目と3代目の卒論生が精力的に研究を行っています。

さて、今年度も、公衆栄養学研究室で実施している論文抄読会 (ジャーナルクラブ)で取り上げた、栄養疫学に関する論文内容の紹介を行っていきます。

今回は4年生の三宅君(システマティックレビュー班)、草野君(トランス脂肪酸班)が担当した論文についてご紹介します。

2019/4/15(三宅君)

タイトル:青年期の犬の散歩について:身体活動との相関およびその寄与

Dog walking among adolescents: Correlates and contribution to physical activity.

身体活動を増やすことは、循環器疾患などの生活習慣を予防する上で大切です。WHOでは5~17歳の子供や若者に毎日60分程度の中等度から強度の身体活動(MVPA)1を推奨しています。

今回紹介する論文は、アメリカの青年期の若者(12-17歳)925名を対象にした研究です。犬の散歩をすることがMVPAやBMIに関連するのか、またどのような項目が犬の散歩と相関があるのかを調べた横断研究です。犬の散歩に関する項目は質問から得られ、MVPAは加速度計によって測定されました。

犬を飼っている人は全体の52%で、そのうちの62%が週1日以上、犬の散歩をしていました。対象者のMVPAは1日約61~66分でしたが、犬の散歩をしている人のMVPAは、犬を飼っていない人や犬を飼っていても散歩しない人に比べて、1日に4〜5分程度多いことがわかりました。一方、犬の散歩とBMIは関連していませんでした。また犬を飼っている人の中で、歩きやすい地域に住む人は、そうでない地域に住む人に比べて、12%多く散歩する傾向がありました。

犬の散歩が、MVPAを増加させる可能性や、散歩する道の歩きやすさなど環境面も影響する可能性を示した研究でした。

1) MVPA:moderate-to-vigorous physical activity

中等度の身体活動とはおおよそ3-6METS、強度の身体活動はおおよそ6METSを超える身体活動を示します。メッツは身体活動の強度の単位です。3METS以上はダンスや早歩き、ガーデニングなど、6METSを超える身体活動にはランニングやエアロビクスなどがあります。

WHO. What is Moderate-intensity and Vigorous-intensity Physical Activity? https://www.who.int/dietphysicalactivity/physical_activity_intensity/en/

2019/5/13(草野君)

タイトル:成人における脂肪酸、抗酸化物質および特定の食品群の食事摂取量と喘息について

(Dietary intake of fatty acids, antioxidants and selected food groups and asthma in adults.)

この研究は、特定の脂肪酸の摂取が喘息の発症に関連するかを検討するために、「コホート内症例対照研究」という方法を用いて調べました。

対象者は、がんと栄養に関するヨーロッパ前向き研究(EPIC)の参加者(成人男女35-65歳)のうち、研究の追跡期間に医師によって喘息と診断された105人(症例)と喘息を発症しなかった人から無作為に抽出された420人(対照)です。脂肪酸の摂取量は食物摂取頻度調査票というアンケートを用い評価され、摂取量によって3グループに分けられました。

その結果、オレイン酸(C18:1 n-9)の摂取量が多くなるにつれて、喘息のリスクが高くなる傾向がみられました。その他の脂肪酸については有意な関連は見られませんでした。また、マーガリンの摂取量が最も多いグループで喘息のリスクが上昇していました。

成人後、新たに発症する喘息と特定の脂肪酸や食品との関連を検討した興味深い論文でした。



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