食のデータサイエンス研究室
栄養疫学★ジャーナルクラブ(2018/11/20)
こんにちは。
4年生の卒論発表も無事に終了し、新規配属の2年生も決定し、研究室も代が変わる時期になりました。
さて、随分と時間が空いてしまいましたが、公衆栄養学研究室のジャーナルクラブ紹介を再開したいと思います。
今回は大学院生の鬼頭さんが紹介してくれた、メタアナリシスという手法を使用した研究の論文をここで紹介します。
2018/11/20(鬼頭さん)
タイトル:食事由来のアクリルアミドとがんのリスク:最新のメタアナリシス
今回ご紹介するのは、『食事から摂取したアクリルアミドとがんのリスク』を検討したメタアナリシスです。メタアナリシスというのは研究手法の一つです。同じテーマについて、類似の方法で行われた複数の研究結果を統合・解析し、その時点の総合的な評価を導く手法です。作業の流れとしては、前回のラボナビでもご紹介したシステマティックレビューを行った後に実施します。
さてアクリルアミドは、炭水化物を多く含む食品(じゃがいも、小麦粉製品など)が高温で揚げる・焼くなどされる過程で生じる発がん性物質です。現在各国でアクリルアミドの摂取量とがんのリスクについて検討が行われています。著者らは2011年にアクリルアミドとがんのリスクについて、最初のメタアナリシスを報告していますが、この数年で発表された研究を追加し、改めてメタアナリシスを実施しました。
この研究では、まず文献検索データベースPubmedを用いて、がんとアクリルアミドのリスクを検討している32の文献を抽出しました。次に16種類のがん(大腸がん、乳がんなど)について、がんの種類ごとにメタアナリシスを実施しました。
最もアクリルアミド摂取量の高いグループが最も摂取量の低いグループと比較した結果、ほとんどのがんで関連はみられませんでした。関連がみられたのは腎臓がんと喫煙経験のない女性の子宮体がんのみでした。この結果は、著者らが以前実施したメタアナシリスの結果と同様でした。
日本においても昨年、食事由来のアクリルアミド摂取量と乳がん、子宮体がん・卵巣がんの罹患リスクが報告されました。
結果としては、今回のメタアナリシス同様で、関連がみられませんでした。
ほとんどのがんでは、アクリルアミドの摂取と関連がみられないというのが、現時点のエビデンスと言えるでしょう。
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