食のデータサイエンス研究室

Nutrition Epidemiology and Data Science

栄養疫学★ジャーナルクラブ(2018/10/09, 16)

投稿日:2018年10月31日

こんにちは。

麻布大学では先週末に学園祭が行われ、大変盛況でした。

朝晩の気温もぐっと下がり、冬の気配がしますね。

今回は二重標識水法(DLW)班 の2人が論文を紹介してくれましたので、そちらをご紹介します!

2018/10/9(佐藤君)

論文タイトル:肥満外科手術に提出された肥満女性のバイオインピーダンス分析と二重標識水法による体組成の一致  (Beato GC et al., Agreement Between Body Composition Assessed by Bioelectrical Impedance Analysis and Doubly Labeled Water in Obese Women Submitted to Bariatric Surgery, Obes. Surg., 2018)

 肥満手術を受けた人達にとって、手術後の継続的な体脂肪量減少及び維持を確認する体組成モニタリングは非常に重要です。その為、低コストで実用的な部位別直接インピーダンス測定法(DSM-BIA)の正確性を検証する必要があります。そこで、精度の高い二重標識水(DLW)法とDSM-BIAの結果と比較し、その妥当性について検証をしました。本研究では、胃のバイパス手術を受けたクラスIII肥満女性のDLW法とDSM-BIA法による体組成測定の精度を比較しました。

 結果として、ピアソンの相関係数は、手術前、術後6ヶ月、および術後12ヶ月で、DLW法とDSM-BIA法に有意な差(p <0.001)(r値0.73〜0.92)が見られました。このことからDSM-BIA法による体組成測定の推定精度の正確性が検証されました。

今回の研究は対象者が女性のみであった為、男性でも同様の結果が得られるか調査する必要性が示唆されました。

2018/10/16(尾崎君)

論文タイトル:日本人成人における秤量法におけるエネルギー摂取量の推定精度  (高田 和子, 栄養学雑誌, 69, 57-66, 2011)

国内の食事調査の妥当性研究では、秤量法がゴールドスタンダードとして使用されています。しかし、秤量法による食事記録は、エネルギーの摂取量を過少に評価する人が多いことが先行研究から報告されており、秤量法の推定精度の正確性は妥当性研究においてとても重要な因子となります。この研究では、二重標識水(DLW)法を用いて総エネルギー消費量(TEE)を測定し、秤量法による食事記録から調査した総エネルギー摂取量(TEI)を比較して、TEIの推定制度を検討しました。対象者は20〜69歳の男女48名で、2週間のDLW法と秤量法による食事記録を実施し、2週間中で体重変動があった場合は体重補正済みエネルギー消費量(cTEE)として比較検討しました。

結果は、TEEとTEIはそれぞれ男性で2819±620kcal/day、2308±466kcal/dayで女性は2045±501kcal/day、1182±414kcal/dayでした。男性のTEIでは有意に過小評価されていました。TEIの推定精度では記録した食品数が多いほど妥当性に影響していて、特に女性では年齢が影響していました。

今回の研究では、秤量法による食事記録の推定精度はある程度正確でした。しかし、過小評価や推定誤差も見られたため、今後さらなる調査を行い、調査方法や対象ごとのTEIの推定精度の程度を明らかにする必要があることが示唆されました。

次回はトランス脂肪酸と妊娠高血圧腎症に関する論文を紹介します。



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