食のデータサイエンス研究室

Nutrition Epidemiology and Data Science

栄養疫学★ジャーナルクラブ(2017/12/15&22)

投稿日:2017年12月28日

石原(教員)です。

今年最後の栄養疫学★ジャーナルクラブ報告のテーマは、「朝ごはん」です。

皆さん、朝ごはん、食べてますか?

「食べていない」と思ったそこのあなた

ダイエットしてるし。食べないと体に悪い、といわれても、どんな風に悪いのか、よくわかんないし。朝、時間がないし。と言ったところが理由でしょうか。大学生だと節約、というのも大きいですね。

今回は、朝ごはんを食べないと、体にどんな悪影響があるのかについて調べた研究論文を、研究室の小門さん、三さんがそれぞれ紹介してくれました。

二人は、若い人たちがなぜ朝食欠食をするのかについて実態調査を計画している食育班のメンバーです。

①12/15 朝食欠食と心疾患・代謝性疾患のリスク要因との縦断的関係(Smith et al., Skipping breakfast: longitudinal associations with cardiometabolic risk factors in the Childhood Determinants of Adult Health Study. American Journal of Clinical Nutrition. 2010; 92:1316-25)

子供のときから、そして成人してからの朝食欠食が、肥満や血糖値、血中脂質など、心臓病や糖尿病などのリスクとなる要因にどのような影響を与えるのかを調べた、オーストラリアの研究です。9~15歳の子供約7000人に朝ごはんを食べているかどうか調査をし、その子たちが20~30歳代になったときに再度、朝ごはんの有無を聞くのと同時に採血や身体測定をしました。その結果、小児期や成人期で欠食していた(する)人は、していなかった(していない)人にくらべて、腹囲が大きく、空腹時インスリンが高く、LDL(悪玉)コレステロールが高いという結果が得られました。この結果は年齢や性別など、結果に影響を与える要因を調整したあとの結果です。このことから、朝食の欠食は心臓病や糖尿病のリスクを上げるリスク要因に悪影響を与えることがわかりました。

論文はこちらから

http://ajcn.nutrition.org/content/92/6/1316.full.pdf+html

②12/22 朝食と脳卒中、心疾患の罹患の関連:多目的コホート研究(Kubota et al., Association of breakfast intake with incident stroke and coronary heart disease-The Japan Public Health Center-based study. Stroke. 2016; 47: 477-481)

朝食の欠食が脳卒中や心疾患のリスクを上げるかどうか、約14万人の日本人を対象としたコホート研究集団で検討した研究です。コホート研究というのは、あらかじめ生活習慣を調べておいた方たちを長期間追跡し、その方の健康状態を調べることによって、ある習慣を持つ人たちが病気にかかりやすいのかどうかを調べる研究方法です。この研究では、あらかじめアンケートで調べた朝食を週何回食べる頻度によってグループ分けし、各グループでの平均13年後の脳卒中や心臓病の発生状況を調べました。すると、一週間あたりの朝食を食べる回数が0~2回のグループでは、毎日食べるグループに比べて、脳出血になる人が1.4倍も多いということがわかりました。この研究では、心臓病に関しての関連はみられませんでした。この結果も年齢や性別など、結果に影響を与える要因を調整したあとの結果です。この研究は、エビデンスレベルの高い大規模なコホート研究では、世界ではじめて朝食欠食が脳卒中のリスクを高めることを示した研究でした。

この論文は多目的コホート研究班のホームページに概要版がありますので、あわせてご覧ください。

http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3768.html

論文はこちらから。

http://stroke.ahajournals.org/content/47/2/477.long

さて、冒頭の理由にもどります。ダイエットのために朝食抜くのは逆効果なのがわかりました。健康への悪影響もわかったし、将来、肥満や病気にならないように時間やお金をかける価値はありそうですね。

厚生労働省の平成28年国民健康・栄養調査の結果では、20代の若者の3~4人にひとりが朝ごはんをしっかり食べていない、ということが明らかになっています。

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf

特に男性では30代、40代でも食べない人が多いという現状です。

国も食育に関する計画(第三次食育推進基本計画)の中で、朝食を欠食する若い世代の割合を15%以下にするという目標をかかげて、様々な取り組みを行っています。

http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9929094/www8.cao.go.jp/syokuiku/index.html

http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/oneday/morning2.html

ここで、新年の目標の提案です。

高校生の皆さんは、自分でちゃちゃっと朝ごはんを用意できるようになって、お父さんと一緒に朝食というのはいかがですか?

お父さんは元気に長生き!自分は朝ごはんの用意なんて朝飯前の(当たり前ですが、、、)

デキる(+´皿`)キラッ☆大学生、社会人を目指す!とっても素敵な目標じゃないですか?

実践してくれる方、是非、学科ツイッターに決意表明してください。

今年、栄養疫学★ジャーナルクラブを読んでくださった皆様、ありがとうございました。

まだまだ来年も続きますので、どうぞよろしくお願いします。

それぞれの方の新しい年がすばらしい一年になりますように☆ミ

どうぞ良いいお年をお迎えください。



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